記事: 『圧倒的に取り出しやすい名刺入れ』 - THE Card Case 開発ストーリー

『圧倒的に取り出しやすい名刺入れ』 - THE Card Case 開発ストーリー
こんにちは。muon代表の轟です。
名刺入れを開けたのに、名刺がうまくつまめない。少し多めに入れたら、すぐにパンパンになる。そんな経験はありませんか?
実はこの2つの不満、名刺入れの「折り方」に原因があります。muonで2つ目の革小物となる「THE Card Case」は、その折り方を根本から見直すところから生まれました。
今回は、なぜ多くの名刺入れでこの問題が解決されてこなかったのか、そしてmuonがどう解決したのかをご紹介します。
きっかけは、名刺入れへの不満
THE Card Caseは、私自身が名刺入れを使っていて感じた不満から生まれた商品です。
不満は2つありました。
1つ目は、名刺が思ったほど入らないこと。少し多めに入れようとすると、すぐにパンパンになってしまう。無理に詰め込めば名刺入れが分厚くなり、ジャケットの内ポケットも膨らんでしまいます。
2つ目は、名刺が取り出しにくいこと。名刺入れを開けても名刺が奥に入り込んでいて、うまくつまめない。名刺交換の場面でもたついてしまうのが、ずっと気になっていました。
原因は「谷折り」の構造にあった
いろいろな名刺入れを見比べてわかったのは、この2つの不満が同じところから来ている、ということでした。
一般的な名刺入れ(笹マチや通しマチと呼ばれるもの)は、名刺を入れる部分が「谷折り」の構造になっています。この構造だと名刺が谷の底に沈み込むので取り出しにくく、折り込まれた革が重なる分だけ厚みも出てしまいます。

「山折り」にすれば、両方解決できる
そこでTHE Card Caseでは、収納部を谷折りではなく「山折り」にしました。採用したのは、日本の伝統的な技法である「風琴(ふうきん)マチ」です。アコーディオンの蛇腹のような構造で、開くと大きく広がり、閉じると薄く畳まれます。
開いたときに中がよく見えるので、名刺をさっとつまめる。閉じれば薄く収まる。取り出しやすさと薄さという、これまで両立しにくかった2つを、構造ひとつで解決しています。

では、なぜ多くの名刺入れは山折りにしないのか
これだけ良いことがあるなら、どの名刺入れも山折りにすればいいのでは?と思われるかもしれません。それでも一般的な名刺入れの多くが谷折りなのは、風琴マチを作るのがとても難しいからです。
蛇腹のように何度も折り返す構造なので、革を薄く均一に漉(す)き、折り目を正確につけたうえで、細かな部分を一つひとつ縫い合わせていく必要があります。少しでもズレると、開いたときにきれいに広がらなかったり、閉じたときに膨らんでしまったりします。
手間がかかり、職人の技術も必要なため、大量生産には向きません。結果として、作りやすい谷折りの構造が一般的になっています。
muonの製品は、すべて職人の手作業で作っています。だからこそ、手間のかかる風琴マチをあえて採用することができました。
また、手間がかかるということは、当然工賃も高くなる、ということ。当社はバングラディシュで生産しており、工賃のかかる風琴マチ構造の名刺入れを、手頃な価格で提供できています。
(当社の生産工場では、日本人技術者がバングラディシュ職人に技術指導をしています。)

名刺の「使い分け」まで考えた
最近は、複数の肩書きを持ち、名刺を2種類持ち歩く方も増えています。1つの名刺入れの中で名刺が混ざらないように、最初から分けて入れられる形にしました。
いただいた名刺とご自身の名刺も混ざらないので、商談中に慌てることもありません。
ちなみにこれも、複数の肩書きを使い分けながらビジネスをしている、私の原体験から生まれた機能です。
薄いのに、最大30枚入る
THE Card Caseは、メイン収納部とサブ収納部を合わせて、最大約30枚の名刺が入ります。
これだけ入るのに分厚くならないのも、風琴マチのおかげです。蛇腹の構造は、名刺が少ないときは薄く畳まれていて、名刺が増えるとそのぶん広がります。普段はスマートに、たくさん必要な日にはしっかり入る。中身に合わせて形が変わるので、1つの名刺入れでどちらの日にも対応できます。

届いたその日から、手に馴染む革
素材は、muonのバッグと同じバングラデシュレザーです。イタリアの高級ブランドとも取引のあるタンナーから、直接仕入れています。

実は、試作段階ではイタリアンレザーやヌメ革など、別のレザーを使用していました。
試作して分かったのは、硬い革の名刺入れは、使い始めは窮屈で、馴染むまでしばらく時間がかかるということです。
バッグと違って名刺入れは使用頻度が高くないため、最初から手馴染みの良いレザーが最適だと判断しました。
THE Card Caseは柔らかくしなやかな革を使っているので、名刺を入れると革が自然に広がり、届いた日から出し入れがスムーズです。
表面は傷が目立ちにくいエンボスレザーで、色はオールブラックに統一しました。主張しすぎないので、どんな商談の場でも浮きません。
さいごに
名刺入れは、バッグに比べればとても小さな道具です。しかし、商談の最初の数秒、相手の目の前で使うものでもあります。
そこでもたつかず、スマートに名刺を差し出せる。そのための「ちょうどいい」名刺入れを目指して作りました。
muonのバッグをお使いの方はもちろん、名刺入れを新調しようと考えている方にも、手に取っていただけたら嬉しいです。
